労働災害の区分と補償

 

労災保険と対象となる労働災害(労災)は、「業務上災害(業務災害)」と「通勤災害」の二つに区分され、また保険給付では、業務上災害の場合は「補償給付」、通勤災害の場合は「給付」という呼び名になっています。

 

業務災害とは、労働者の業務上の負傷、疾病、障害または死亡をいいます。これは、業務が原因となった災害ということであり、業務と傷病等との間に一定の因果関係があることがポイントになります。

 

なお、 業務上の災害に対しては、事業主に災害補償の責任があるため、給付の前に「補償」という文字が入っています。また通勤災害とは、労働者が通勤により被った負傷、疾病、障害または死亡をいいます。

 

一般に労災保険の「通勤」とは、就業に関し、住居と就業の場所との間を合理的な経路および方法により往復することをいい、業務の性質を有するものを除くものとされています。そのため、往復の経路を逸脱し、または往復を中断した場合には、逸脱または中断の間およびその後の往復は「通勤」とはなりません。

 

ただし、逸脱または中断が日常生活において必要な行為であって、労働省令で定めるやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、逸脱または中断の間を除き「通勤」となります。

 

これより、労災で通勤災害と認められるためには、その前提として、労働者の住居と就業の場所との間の往復行為が「労災保険法における通勤の要件」を満たしている必要があります。